INFORMATION情報発信
2026.01.25
『ロゴとネーミングの法律』出版記念イベント<前編>
自著『ロゴやネーミングの法律-事業を守る商標のしくみ』の出版社「中央経済社」が主催したトークイベントに出演しました。この本は「ゆるカワ商標ラジオ」が基になり生まれたという経緯があります。このため、同イベントの様子を編集した動画をゆるカワ商標ラジオにて期間限定で公開すると共に、要約を記事化しました。
▼動画はこちら
2026年1月22日
▼各種Podcast音声配信はこちら
1.”夢事件” 普通の言葉も商標登録される
夢事件は、書籍『ロゴやネーミングの法律』で最初に紹介した事例です。既成語「夢」を日本酒に使用していた酒造メーカーが訴えられ、「夢」を使用できなくなり損害賠償も支払うことになったという事件です。経営者のよくある誤解を解くために紹介したものであり、オリジナルのネーミング(造語)でなくても商標登録できる(逆にいうと普通の言葉でも使えなくなる)可能性があることを伝えたくて取り上げました。

2.”iPhone vs. アイホン問題” 意外と広い類似範囲
造語であっても使えなくなることや、先に登録されている商標と一見全然違っても使用や登録ができなくなることを示すのに分かりやすい事例です。交渉により、最終的にはApple社がアイホン社から使用の許諾を受けることで決着が付いています。

当番組でも他の媒体でも繰り返し扱われてきたこの事例ですが、新たな視点を加えました。なぜ片仮名とアルファベットの違いがあっても類似するのか?という疑問に対して「ニトリ(NITORI)」の例を挙げつつ最近の裁判所や特許庁の考え方を紹介しました。また、Apple社が「iPhone」を「アイホン」と表記する可能性があるのか?という質問に対して、2007年当時の特許庁審査官は発表前の「iPhone」などという商品を知らないので、上記の可能性も否定できないことや、今の感覚では区別できても当時の感覚では区別できないことを解説しました。
3.”Asahiビール事件” ロゴに著作権はない?
この事件は「Asahi」と「AsaX」が類似だと主張してアサヒビールが訴えた事件です。オリジナルで作ったロゴには著作権があり自由に使える、という誤解を解くための事例です。重要なのは裁判所が「Asahi」のロゴに著作権がないと判断した点です。特徴的に見えるロゴでさえも著作権が認められないというのは一般の感覚とはズレるのではないかと思います。

ロゴといっても、文字を装飾化したロゴは著作権が認められない傾向が強く、イラストや図形のロゴは(ありふれていなければ)認められる傾向があります。たとえば、以下のパッケージのうち、「マルエフ」や「Asahi」には書体(字体)に特徴があっても著作権が認められないのに対して、鳥のイラスト部分には著作権がおそらく認められるということです(実際には裁判での証拠次第でありふれているか否かの判断がなされます)。

アサヒグループホールディングスのHPから引用https://www.asahibeer.co.jp/products/beer/asahinamabeer/asahinamabeer.html
ちなみに、過去の判断傾向に基づくと、「おつかれ生です。」というキャッチコピーにも著作権はないように思います。著作権はなくても商標登録はされています(登録6548009)。このため、同業他社は広告などで自由に使用できません。他にもアサヒビールは、以下のとおり、マルエフ関連の商標権を多面的な視点で取得しており、実務で参考になります。

このような話を弁理士、企業知財部員、広告マン、という3者の視点で話しました(マルエフ関連の話はこの記事限定)。動画は2/22で公開が終了しますので、お早めにご視聴くださいね。以上、知財系ライトニングトーク #31 拡張オンライン版 2026 冬 の発表記事でした。
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