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2024.07.09
【AiR対airweave】商品名を間違って発信しちゃった⁉︎問題から”商標の基本的な概念”を解説
同じ寝具メーカーで併存する「AiR(エアー)」と「airweave(エアウィーヴ)」。芸人さんがラジオで2つを混同し絶賛してしまった事例から、商標の基本概念を解説します。
1.番組概要
複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ♡商標ラジオ」毎週木曜日22時〜YouTube配信📢
2024年7月4日配信
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2.商標解説
17:40 銀シャリが間違って絶賛!問題から商標の基本的な概念を広く解説
銀シャリの鰻さんが、「AiR」の高級布団を購入しラジオで「大谷翔平のエアウィーヴ最高!」と絶賛し、それを聴いたリスナーが「airweave(エアウィーヴ)」の布団を購入した事件を紹介します。この事件に沿って、商標法における基本概念である、”結合商標の類否”、”需要者の注意力”及び”離隔観察”を解説します。
「AiR(エアー)」と「airweave(エアウィーヴ)」について、特許庁は類似しないと判断しました。例えば、iPhoneとiPhone 16が類似するか、STARBUCKS COFFEEとSTARBUCKSが類似するか、餃子の王将と大阪王将が類似するか、というように、ネーミングの一部がカブっている場合に類似するか否かは結合商標の類否という商標実務で頻出のテーマです。判断基準を簡単にいうと、共通部分が著名だと類似となり、相違部分に識別力がない(数字や地名、布団の分野で「ふわふわ」や「布団」等)の場合にも類似となります。この基準によると、今回の「AiR(エアー)」と「airweave(エアウィーヴ)」が非類似という結論は妥当なように思えます。
次に、商標(商品名等)が類似するかどうかは、その商品の需要者が通常有する注意力が判断基準となります。このため、本件のように間違って購入した需要者が現実にいたとしても、そのような需要者が通常有する注意力を有していたといえるかが問題となります(”ニッポン放送vsラジオ日本”事件、詳細は参考情報に)。特許庁が登録できるか否かを判断する場合は「あらゆる布団」の需要者がベースになるため、注意力が低い需要者も含まれそうです。一方、裁判所が商標権侵害か否かを判断をする場合には、現実の布団の価格も考慮されるため、本件のように「高価な布団」を購入する需要者の注意力は高いといえそうです。注意力が高いほど出所の混同をしにくい(間違えにくい)ため、非類似となりやすくなります。
ところで、2つの商標(商品名等)について、外観(見た目)が全く違っても類似することがあり、納得感がないとの意見もあります。納得感を得るためには”離隔観察”の考えを理解する必要があります。商標が類似するかどうかは、”離隔観察”で判断されます。これは、同時に見比べるわけでなく、ある所で商品を購入等した後に、別の所で見た時に同じメーカー等の商品と思うかどうかという観察方法ということになります。この観察方法よると、商品名の外観が違っても同じメーカー等と思ってしまうこともありそうです。また、本件のように、ラジオや口コミで伝えられる場合も称呼(読み)が重要になります。そう考えると、外観が違っても称呼が紛らわしければ類似との考え方も一理ありますよね。本件では、称呼も紛らわしくなく非類似が妥当でしょう。
[参考情報]
▼商標審査基準 第4条第1項第11号(先願に係る他人の登録商標)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun/document/index/20_4-1-11.pdf
▼ニッポン放送vsラジオ日本判決文(平成2年8月31日、東京地裁昭和57(ワ)11358)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=14674
▼銀シャリのおトぎばなし~AIR問題~
https://omny.fm/shows/otogi/playlists/otogi
【絶賛編】ep.156【発覚編】ep.163【クレーム編】ep.166 【解決編】ep.170
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