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2025.08.02
書籍『著作物の類似性判断』に基づくイラスト裁判例の解説
イラストの著作権の裁判例を概説し対談的検討が加えられた良本を紹介します。この本の内容に基づき、ブランデザイン所属弁理士2人で自由に議論しています。
1.番組概要
複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ♡商標ラジオ」毎週木曜日22時〜配信📢
2025年7月31日
2.著作権解説
豊富な事例の結論と背景事情から、イラスト類似の境界を探りつつ、証拠や悪質性が結論に及ぼす影響について議論しています。
03:58 眠り猫事件
原告イラストに対して被告イラストのうち、1~15までが類似で著作権侵害、17および19は非類似で著作権侵害でないというのが裁判所の判断でした。9や11も類似というのが広い気がしますが、証拠にもよるのでしょうかね。

09:19 ふわふわ四季のたより事件
被告著作物2のみが著作権侵害となり、それ以外は著作権侵害とはなりませんでした。被告が各イラストの共通点を持つイラストを提出したことが判決に影響を及ぼしたようです。

15:03 博士イラスト事件
ぱっと見すごく似ている気もしますが、非類似で著作権侵害でないと判断されました。共通するのはアイデアで「表現(著作権の保護対象)」は違うというのが裁判所の考えのようです。

23:10 うるせぇトリ事件
いずれも非類似で著作権侵害でないと判断されました。なんか相当似ている気もしますが、シンプルであることも考慮されたのでしょうか。

28:22 けろけろけろっぴ事件
いずれも著作権侵害でないと判断されました。カエルを描こうとすればこのような共通点はやむを得ないでしょうから、これは納得できますね。

30:50 マンション読本事件
いずれも著作権侵害でないと判断されました。裁判所は、創作的な表現は頭部(顔と髪)にあり、それより下(胴体と腕と脚)の表現はありふれたものだと評価しました。その結果、頭部は全然違うという判断です。基本的には全体の組み合わせで創作的な表現かをみるべきだと思いますが、だとしても重要な顔は違うというのが裁判所の意図でしょうか。

ちなみに、本件は被告に依頼を受けたデザイナーが原告イラストを参考にしたことを認め謝罪していた経緯があったようです。これを原告は許さず、被告イラストが掲載された小冊子の頒布を中止するよう求めたのです。これに対して被告は頒布を中止し在庫を全て廃棄したものの、原告は損害賠償3,000万円と謝罪広告を求めたという経緯があります。被告の迅速な対応により差止は叶ったのだから、損害賠償まで認める程のレベルなのか…という価値判断があったのかもしれないなぁと思います。
[参考情報]
▼上野達弘・前田哲男(共著)『著作物の類似性判断』
https://www.keisoshobo.co.jp/book/b584257.html

▼ふわふわ四季のたより事件のイラストと対照表
▼博士イラスト事件の判決文と動画内画像
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/606/036606_hanrei.pdf
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