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2022.10.19

ベトコンラーメン商標事件の解説

1.事件の概要

名古屋や岐阜によくあるという”ベトコンラーメン”。これに関する商標権侵害訴訟事件があった。本家である「ベトコン」の商標権者に無断で「ベトコンラーメン」を使用したラーメン屋が使用中止や損害賠償を求められ、裁判になったようである。この裁判の途中で訴えられた者(被告)がカウンターとして判定請求をした。重要な争点は「ベトコンラーメン」はジャンル名として自由に使えるか否かである。この一連の事件について、2022年10月20日22時~公開のゆるカワ商標ラジオにてゲストにラーメン専門家を招き詳しく解説している。

          

2.判定の意義と結論

判定とは特許庁に対して商標権の効力について鑑定的意見を求めることができる制度であり、法的拘束力はない。これは特許庁の判定(意見)に裁判所は縛られず自由に判断することができることを意味する。言い換えると、特許庁の判定結果にかかわらず、裁判所の判断が優先するということである。裁判よりも早く結果が出る上に裁判費用より低価格なため、訴訟前の紛争解決手段として利用される所に利用価値がある。

 

本件でも、裁判の判決は2022年10月20日時点でまだ出ていない一方で、判定の結果は出ている(判定2021-600001。判定での当事者の主張と証拠の一部については筆者が取り寄せた資料でありネットで見るにはこのサイト以外にない。ちなみに取り寄せ費用は約13000円)。結論としては、「ベトコン」の商標権は被告(判定請求人)の「ベトコンラーメン」の使用に効力が及ぶというものであった。つまり、被告にとっては不利な結論であった。

 

3.感想と意気込み

この事件を踏まえて、改めて商標登録の重要性を感じ、商標登録(商標権)がないとブランドを守れないことを実感した。守れないとは具体的にどういう意味か?本家のラーメンとは”全く別物”のラーメンに後々真似され放題となり、「○○ラーメンって美味しくない」等と消費者に思われて本家の信用が害されるという意味である。つまり、商標権が守っているのは表面的なネーミングというより、事業における”信用”なのだ。

 

一方、開業時から商標のケアをするには意識や費用の面でハードルがあるとも思う。弊所ブランデザイン及びゆるカワ♡商標ラジオでは、少なくとも意識の面のハードルを下げるべく、商標制度を普及していきたい。

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