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2019.02.04

Vol.16 (塩砂糖)

不服2017-7934

 

本件商標 塩砂糖

 

第30類 指定商品「角砂糖,果糖,氷砂糖,砂糖」等

 

1.結論

識別力ありとして登録すべき(商標法第3条第1項第3号等非該当)

 

2.概要

<審査段階では、本願商標は識別力が否定された。その理由は、『○○(調味料)砂糖』の文字が『○○(調味料)と砂糖』の意味を表すものとして使用され、また、『塩砂糖』という『塩と砂糖を使用した甘味料』も製造、販売されている実情があるというものであった。

 

3.コメント

審決の理由のうちの一つは、「塩砂糖」の文字が、商品の具体的な品質等を表示するものとして一般に使用されている事実がないというものであった。しかし、2019年1月30日以降の審査に適用される審査基準の改訂のため、この理由は、もはや識別力を肯定する理由ではない(本件審決は審査基準改訂前のもの)。したがって、現在では、需要者が一般に商品の特徴を表す語と認識するか否かが最も重要な判断の基準となっている。

 

2つの普通名称を組み合わせた商標は識別力が否定され得る。このような商標に関して裁判所で争われている侵害訴訟がある。この裁判は係属中のため事件の詳細は不明だが、ニュースの記事によると、以下が事件の概要であるだろう。

文字部分が識別力を有していれば、これらの商標は類似となり得る。筆者は、以下の理由で「Tea Coffee」の文字は識別力を有しないと思う。

 

(1)複数種類の飲料同士を混ぜることは一般的である、特にコーヒーと紅茶(例えば、カフェラテ、ソイラテ、レモンティー、ソイティー等) (2)紅茶とコーヒーを組み合わせた飲み物が実際に存在する (3)紅茶とコーヒーを混ぜることを阻害する要因がない

 

このケースとは異なり、本件商標「塩砂糖」は審決のとおり識別力を有するというべきであると思う。理由は以下のとおり。

 

(a)複数の調味料を混ぜた商品は一般的でない(特に、塩と砂糖を混ぜた商品) (b)塩と砂糖を混ぜることを阻害する要因がある。つまり、各調味料の分量を示すレシピに基づいて調味料は使用されるため、混合された調味料を使うと各調味料の分量を量ることができない。特に、塩コショウとは異なり、塩と砂糖は全く異なる種類の味がするので、混合された塩と砂糖は使用するのが容易でない。

 

ただし、今後、塩と砂糖を混ぜた調味料(甘味料)が普及すれば、後発的に識別力が無くなる可能性も充分ある。

 

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