INFORMATION情報発信

2021.12.13

商標チキチキ!クイズ(商標登録の重要ポイント”商品・役務”)

 brandesign専属ライターのタイガー小林です。今回も商標に関するお役立ち情報をお届け致します!

 

商標登録するために、まずしたためるのがこちらの願書。そして、赤枠で囲った部分、【指定商品(指定役務)】の右横にどんな言葉を書くのか、それが商標権の未来を大きく左右する超重要ポイントです(【第1類】の〇に何の数字を書くかもこれに関連して重要です)。

 

この欄には、これから商標登録しようとする商品・サービスの内容を書き記すわけですが、何でも自由に書いていいのではなく、特許庁の定める審査基準に見合った表現を使用しなければなりません。それらはコチラの一覧(類似商品・役務審査基準)で確認できます。

 

あまりに馴染みのない単語の羅列に、軽いめまいを覚えるのは私だけでしょうか…。出願人泣かせの商品役務の表現を少しでも楽しく(?)勉強できるよう、岡村弁理士が以下の動画にてクイズ形式で紹介しています。

動画1(手動利器・すげがさ)

動画2(フルーチェ・パンの袋を留めるアレ)

動画3(雑貨・退職代行・ブログ)

 

この記事では、クイズの一部を紹介します。

 

Q.『手動利器』ってなんのこと?

音だけ聞くと、貴闘力や長州力など格闘家をイメージしがちですが…。

 

A.『はさみ』、『包丁』、『かみそり』、『のみ』、『まさかり』等の手動の利器

はさみの商標登録をしたい場合は、願書の赤枠に『はさみ』と書くことも可能ですが、手動利器という用語を用いれば、上記に列挙した通り、より広い概念での権利が取得できます。一方で、手動利器という言葉の意味を知らないと、他者が手動利器という言葉で出願していた場合に、自社のはさみとは関係ないとスルーしてしまう危険性があるのが恐ろしいところです。

 

Q.『フルーチェ』はどう言葉で表現する? 

果汁の液体に牛乳を入れて混ぜるとあら不思議!プルプルとしたデザートが出来上がる、あのヒット商品です。

ハウス食品㈱HP

 

A.『即席菓子のもと』

確かに、お菓子ではあるが完成品として売られているわけではないため、この表現がピッタリですね。ちなみに、1980年代初頭に一世を風靡した(?)水と粉を練って作る『ねるねるねるね』は、『菓子』と『即席菓子のもと』のどちらに該当するのかの境界が難しいですが、手堅く両方の権利を取得しています。

 

Q.『パンの袋を留めるアレ』はどう言葉で表現する?

台所の掃除をしていると、トースター付近に必ず落ちている、白や水色のアレです。

登録第5858733号

 

A.『パン製品の袋やパン製品の包装をとじるためのプラスチック製クリップ』

なんとストレートな表現なのでしょうか!どうやら特許庁が受け入れる表現には、一見全く意味が分からないパターンと、火を見るよりも明らかパターンとがあるようですね。

 

Q.『雑貨』はどう言葉で表現する?

「雑貨って言ったら、、、雑貨でしょ?!」という反応を、岡村弁理士もお客様から沢山いただいているようです。

A.雑貨という表現はNG。『人形』や『スマートフォン用ケース』等のように具体的に書きましょう。

改めて雑貨と言う言葉の便利さが身に沁みますね。

 

 

Q.『ブログサービス』はどう言葉で表現する?

アメーバブログやはてなブログなど、web上に日記を投稿できる(炎上もできる)サービスで、実際に利用されている方も多いのではないでしょうか。

A.『電子出版物の提供』及び『インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与』

以前、『ブロマガ』というネーミングの商標権をドワンゴとFC2がそれぞれ保有していて、相互に権利侵害を訴える事態が起きました。ドワンゴは『第41類 電子出版物の提供(41C02)』で、FC2は『第42類 インターネットにおけるブログのためのサーバーの記憶領域の貸与(42X11)』でブロマガの商標権を取得しており、類似群が41C0242X11とで違ったために同じネーミングが商標登録できてしまっていました。確かにブログのサービスには、読者に出版物を提供している側面と、ブロガーにサーバーの領域を貸している側面とがありますよね。

 

Q.『退職代行サービス』はどう言葉で表現する?

退職希望の社員と会社の間に入って円満な退職をサポートするといった新しいサービス。退職代行という言葉が既に適切な表現に思えますが…。

退職代行サービスの一例(EXIT株式会社)

 

A.『身体上の保安に関する助言』、『裁判外紛争解決』、『契約の交渉に関する法律業務他人のためのこと)』、『私信の代筆』

新しいサービスなので、正解はまだ誰にも分からない、といったところが現状のようです。実際に出願されている商標を参照してみますと、上記A.のものが記されていました。なるほど、技ありな表現ですね。岡村弁理士によると、これらの言葉を願書に記載しつつもサービス説明を審査官にするという方法がお勧めのようです。

 

実は、『雑貨』も、『ブログサービス』も、『退職代行サービス』も、具体的な事業内容によって必要な商品・役務が変わるため、いずれも決まった答えがないということになります。

 

ちなみに、特許庁の審査基準は毎年変わるそうです。数年前に『すげがさ』が消えたり、『スマートフォン』が加わったり、時代と共に廃れて消えゆく表現もあれば、これまでにない商品や役務(サービス)の登場によって新たな表現が生まれたりと、特許庁の審査基準もダイナミックに変化しているようです。

 

以上、ちょっと驚きな商品役務表現の数々、少しは身近に感じられたでしょうか。普段の生活の会話に取り入れてみても楽しそうですね。

 

『先生、手動利器忘れました!』

『今日のおやつは即席菓子のもとよ~』

『ちょっと!パンを出したら、ちゃんとパン製品の袋やパン製品の包装をとじるためのプラスチック製クリップで留めておいてよ!』

 

個人的には、袋を開けた食パンは即座の冷凍保存がお勧めです。

 

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