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2020.08.20
備考類似と類似群の解説!商標調査の落とし穴に注意!ブランデザイン記事
1.概要
備考類似とは、類似群コードが異なるものの商品・役務(サービス)が類似と扱われる運用のことであり、商標調査の際に注意が必要である。そもそも類似群コードとは商品・役務ごとに割り振られる5桁の記号のことであり、特許庁の商標審査で用いられている。詳しくはQ&A類似群についての記事をご参照いただきたい。
例
シャンプー:類似群04A01
ヘアーリンス:類似群04C01
備考類似関係にある商品・役務はクロスサーチされない※(特許庁が商標審査で見ない)。一方、審査官に情報提供がされた場合には類似と推定される。例えば、X社が「シャンプー」について商標「ABC」の登録を受けた後に、Y社は「ヘアーリンス」について後願商標「ABC」を登録し得る。一方、X社が、Y社の出願の審査官に情報提供すれば、Y社は「ABC」を登録できないことになる。
つまり、情報提供の有無で審査結果が変わる。
※かつては、積極表示があればクロスサーチするかのような記載が審査基準上あったが(詳しくはこちら)、国際分類第10版以降ではその記載が削除されている。
2.事例紹介
先日、備考類似についてあっと驚く事例を発見した。以下に紹介しよう。
不服2019-4634(審決はこちら)
前提
電子計算機用プログラム(9類):類似群11C01
電子計算機用プログラムの提供(42類):類似群42X11
上記2つは備考類似である。文言が似ていて紛らわしいので、以下、前者を9類プログラム、後者を42類プログラムと呼ぶ。
本件で、先願役務と同一の42類プログラムを後願は指定していたところ、後願の審査では先願商標が引用され拒絶査定を受けた。その後、後願の不服審判時に42類プログラムが削除補正された。後願について情報提供はなされていないため、上記1.概要の説明によると後願は登録されそうである。しかし、9類プログラムと42類プログラムが類似と判断され、先願商標に基づき後願は拒絶された。
つまり、情報提供されなくても拒絶される場合がある!
3.対策
今後、同様の事例に出くわした場合、9類プログラムと42類プログラムとを分けて2件出願するという対策が考えられる。一方、同時に出願すると同じ審査官がこの2件の出願を担当することも有り得る。この場合に9類プログラムの出願が拒絶されるか否かは不明である。万全を期すのであれば、9類プログラムについて出願し登録査定後に42類プログラムの出願をしてじっくり権利化を目指すのが良いであろう。
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