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2024.04.05
【憲麿呂が!ピンクレディが!】ギャグや芸能人の似顔絵は著作権や肖像権で問題になるか
芸能人に基づくキャラクターや似顔絵について著作権、肖像権又はパブリシティ権の観点で問題になるかを解説しています。木梨憲武が創作したキャラクター「憲麿呂(のりまろ)」が仮に無断使用された場合や、似顔絵師が著名人の似顔絵を描く場合の法的な問題点について、ピンクレディー事件を踏まえて解説します。
1.番組概要
複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ♡商標ラジオ」毎週木曜日22時〜配信📢
2024年4月4日
2.ギャグに著作権はあるか
09:31 ストリートファイターの”のりまろ”が無断使用だったら?
木梨憲武が木梨憲太郎名義で創作したキャラクター「憲麿呂(のりまろ)」―このキャラクターはMARVEL SUPER HEROES VS. STREET FIGHTERで登場しました。実際は木梨憲太郎が自分をモチーフにギャグ的技やキャラデザインを考案したわけですが、仮に第三者が無断でデザインしていたら権利的に問題になるのかが問題となります。ギャグは創作性によっては著作権上問題になり得ますが、一言だとなかなか認められ難そうですよね。キャラクターデザインが芸能人の顔をモチーフにしている場合は、パブリシティ権でも問題になりそうです。問題になるかどうかの判断基準は後述のピンクレディ事件で最高裁が示しています。
3.似顔絵は肖像権・パブリシティ権で問題になるか
11:32 上記のトークから派生し、似顔絵師が著名人の似顔絵を描いて飾ることは問題になるのか?という議論に発展しました。後述するピンクレディ事件の判断基準に基づくと、「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」にパブリシティ権侵害となります。その例示として「肖像等を商品等の広告として使用する行為が挙げられていますが、似顔絵師が著名人のイラストを描いて店頭に飾っている場合、似顔絵サービスの広告だとしても「専ら」とまではいえないような気がします。
4.パブリシティ権侵害の判断基準
14:52 写真の無断掲載で最高裁へ! ピンクレディ事件を解説
パブリシティ権の議論の前提となるピンクレディ事件の解説を補足します。「ピンク・レディーdeダイエット」と題する雑誌記事(女性自身)を発行した光文社に対して、ピンクレディーのお二人が訴えるという事件が勃発しました。写真の著作権は光文社にあったものの、肖像の利用について許諾を得ていなかったわけです。法律上明文の規定がない肖像権やパブリシティ権の侵害になるか否かを考えるのに参考になる事件です。
最高裁は、肖像等に顧客吸引力を有する者について、その肖像等を時事報道、論説、創作物等に使用されることもあるのであって、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあると述べました。これを前提に「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」にパブリシティ権侵害となる(不法行為法上違法となる)旨を判示しました。「専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」の例として以下の3つを挙げました。
①肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用すること
②商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付すこと
③肖像等を商品等の広告として使用すること
この事件の争点は民法709条(言い換えると不法行為法)における違法性が争いになったのみです。しかし、この判決後の裁判例では、パブリシティ権に基づく差止請求も認められています(嵐事件:平成25年10月16日、平成25年(ネ)10052)。
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