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2020.10.01

アーティスト名は商標登録できない?LADY GAGA事件・ELLEGARDEN事件から紐解く

先日、商標・意匠・不正競争判例百選の読み合わせ会に参加し、LADY GAGA事件について盛り上がった。他の参加者でコメントを書いている方がいたり、それに基づいて意見を述べる方がいたりと、この問題について盛り上がってきたため、改めて検討してみた。

 

 

1.事件の概要

LADY GAGA」は商標登録できなかった。「LADY GAGA」が商品の内容を表すと判断されたためである。具体的にいうと、LADY GAGAは著名な歌手のため、CD等に表示された「LADY GAGA」の文字を見た需要者は収録曲をLADY GAGAが歌っていると認識する。そして、CD等の収録曲を歌う人が「だれ」であるかは商品の内容に該当するということのようだ。なお、LADY GAGAが代表を務める会社が出願人だったので悪意ある出願ではない。

 

 

2.岡村意見

僕はこのテーマについて気になってることがあったので、読み合わせ会で自分の意見をぶつけてみた。すると、参加者から以下のようなフィードバックがあった。

 

この判決が正しいとすれば「音楽の演奏」とかの役務についても同じ判断じゃないと整合性が無いという意見

→賛同を得られた。

 

品質誤認(不正競争防止法2条1項20号)の主張ができるんじゃないかという意見

→あまり賛同を得られなかった。会の後に肯定的な意見もあった。

 

 

3.他の参加者の意見

ある参加者から、LADY GAGA事件で3条2項の主張をしていれば結論が変わったのではないか?という問題提起が斬新だと思った。そこで調べてみると、以下3条2項の適用を受けた歌手名・グループ名の事例が1件見つかった。

 

商標:U2

商品役務:音楽の演奏,歌曲の上演・演奏,音声と楽器によるグループ演奏の上演

第4020776号

 

一方、同日出願のU2(商品:レコード等)は3条2項の適用を受けずに登録に至っている。

4284755

 

逆に、2PM(商品:レコード等)については、韓国出身のアイドルグループの名称を表したものとして認識されることを前提に、識別力ありと判断されている。   

登録5448043(不服2010-26976

 

 

4.裁判例

同じCDジャケットについての使用について、2つの裁判例がある。

 

問題となった表示部分の拡大

 

ELLEGARDEN(平19(ネ)10057号)事件では商標的使用という前提で混同のおそれ有りと判断された。一方、ELLEGARDEN事件(平20(行ケ)10347号)ではアーティスト名等と理解されるとして混同のおそれ無しと判断された。根拠法は異なるが、同じ対象で真逆の結論であった。ちなみに裁判官は同じ(えー!!だ)。

 

※上記の説明に対して、1つ目の事件でELLEGARDEN側は争っておらず、2つ目の事件ではしっかり争っている旨のご指摘をいただいた。判決文を確認すると確かにそうだった(お恥ずかしい)。。そうすると、アーティスト名は識別標識でないという考え方の方が優勢な気もする。しかし、主張立証の仕方で結論が変わったという事は言い換えれば、アーティスト名が識別標識になるという法解釈は有り得るとも捉えられる。

 

5.コメント

以上を踏まえると、この問題はどちらの結論にもなり得るカオス状態だと思う。どちらが正しいのかは分からないが、こういった状況に基づいて何をすべきか考えてみる。

 

歌手名・グループ名が有名でなければ商標登録を目指し、有名であれば3条2項に挑戦する。有名であっても、類似の先行商標がある場合や、同一氏名の他人がいる場合には、識別力無しの拒絶を貰いにいくというのも考えられる。また、いずれの結果になったとしても、将来、不正競争防止法2条1項1号・2号・20号の主張をするため、歌手名・グループ名が有名である事を示す資料の準備をしておくというのも手である。

 

 

6.余談

最後に音楽グループ名の登録例を紹介したい。ジャニーズ事務所が同日に複数のグループ名を出願し商標登録しているのであるが、今回の論点の商品「レコード」やこれに関連する役務「レコードの貸与」等については諦めて削除補正している。

 

関ジャニ∞

KAT-TUN

タッキー&翼

TOKIO

 

ここで注目すべきは、「KAT-TUN」だけが分割出願してレコード等について挑戦している点である(結果は拒絶審決)。当時、事務所の一押しだったのか?と思い調べたところ、メンバーの一人「赤西仁」が脱退したのが、原出願後分割出願前のようだ。言い換えると、KAT-TUNは原出願時6人いたが赤西仁が脱退後、分割出願されたのである。つまり、赤西仁の脱退が分割出願に影響したのかもしれない!最終的には他2人も脱退し現在3人で活動している。

 

KAT-TUNの6人が3人に分割され出願も分割され皮肉なものだ(ちょっと無理あるコジツケか…)。分割して頑張ったが拒絶審決という結果も可哀想である。それにしても、この時に出願されたジャニーズのグループはいずれも脱退、解散又は活動休止(発表含む)しており、呪われているのだろうか。なお、この時に出願されていないV6は現在も脱退者なく活動している。

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