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2023.12.25

SEOツールを使った商標権の価値検討

商標権の価値を評価するのは難しいとされています。理論上は色々な手法があるようですが、一般的に活用されているとはいえません。そこで、新たな試みとしてSEOツールや商標検索ツール(J-PlatPat及びTM SONAR)を使って検討しました。価値を検討するといっても、商標権の具体的な価格を割り出すものではなく、一定の仮設に基づき今年の上位を割り出すことをするにとどまります。SEOツールを利用したのは、Google等での検索数が抽出できることにより、その名称に関するインターネット上のニーズの程度が見えるためです。2023年の登録商標から2部門に分け検討しました(2023/12/3時点での調査)。

 

1.著名商標

”商標は使用してナンボ”と言われます。使用することによって商標という器(典型的にはネーミングやロゴ)に信用が蓄積していくからです。このため、使用の結果広く知られた著名商標は信用蓄積の最たるものといえるでしょう。著名商標にも色々ありますが、本記事では今年2023年に防護標章登録されたものを対象にしました(厳密にいうと、防護標章登録の基礎となった商標登録の価値ということになります)。

 

まず、今年登録された防護標章登録をJ-PlatPatで調べます。

ここでヒットした30件のうち、SEOツール「ラッコキーワード」の月間検索数を調べます。

すると、検索数では「Instagram」が一位となりました。なお、この検索数はGoogleの月間検索数(年間平均値)を意味します(ラッコキーワード注釈)。

 

2.商標登録にハードルがあった商標

視点を変えて、商標登録するのにハードルがあった商標を調べました。具体的にいうと、今年商標登録された商標のうち、以下を全て満たすものを抽出しました。

 

(1)識別力欠如の拒絶理由通知を受けたもの

(2)刊行物等提出書(いわゆる情報提供)により登録が阻止されそうになったもの

(3)意見書の反論によって登録になったもの

 

識別力に疑義があったものは比較的同業他社が使用を欲する商標といえ、かつ、現に情報提供されたのであれば商標登録になると困る同業他社が存在したといえます。さらに、意見書の反論は認められるか否かが不透明であり商標の専門知識が発揮され登録に至ることも少なくありません。したがって、このような条件を満たす登録商標には価値があるという仮説を立てました。以下、この仮説に基づき調べました。

 

まず、今年登録された商標で上記(1)~(3)を満たすものをTM SONAR(有料)で調べます。

 

ここでヒットした27件のうち、検索数とCPCの視点で上位を抽出します。

上記で抽出した上位のうち、商標登録の出願経過をJ-PlatPatで見ると、指定商品・役務を削除補正せずに拒絶対象の商品役務に対して反論し登録になっているのは「氷のキャンドル」のみでした。そこで、「氷のキャンドル」を2.の部門では今年の一位に決定します。

 

ちなみに、氷のキャンドルの実際の画像は以下のようです。綺麗ですねぇ。

ウェブサイト(https://candle-f1.stores.jp/items/6105146446e30e745ce6b8a4)より引用

 

ちょうど本日はクリスマス—季節感のある登録商標が一位になり上手いこと行ったなぁと思いました。メリークリスマス!

 

知財系もっとAdvent Calendar 2023(#IP_AC)の記事でした。

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