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2018.10.02

Vol.9 (マリカー)

任天堂のニュースリリースによると、2018927日東京地裁は侵害訴訟(平成29年(ワ)第6293号)において判決を下した。この裁判では、任天堂は、株式会社MARIモビリティ開発(旧社名:株式会社マリカー)に対して訴訟を提起した。具体的には、「マリカー」等を使用し、自動車及びコスチュームを貸与する被告のサービスの提供に対して、マリオカートのゲーム内のキャラクターが使っている自動車及びコスチュームを無断使用しているとして、不正競争防止法等に基づいて差止及び損害賠償を請求した。差止請求は部分的に認容されたようであるが、判決文はまだ公開されていない。被告は、知的財産高等裁判所に控訴したことをプレスリリースにて発表した。

 

ちなみに、上記請求より前の2017年1月26日、特許庁は商標「マリカー」の商標登録に対する異議申立への判断が示されていた。それを以下に紹介する。

 

異議2016-900309

1.結論

出所の混同のおそれなしとして登録維持とされた(4条1項15号非該当)

 

2.概要

両商標は、称呼、外観及び観念において明確に非類似と判断された。任天堂は、「マリカー」が任天堂の商品の出所表示及び引用商標の略称として周知である旨を主張したが、その主張は認められなかった。ゲームの雑誌やカタログ、ウィキペディアでは「マリカー」の文字が単独ではなく、「マリオカート」のゲームソフト名と共に使用されており、かつ、単独の使用が個人のブログに掲載されているのみであることに基づき、周知性は認められなかった。

 

3.コメント

筆者が子供の頃、筆者を含め皆がマリオカートのことをマリカーと省略して呼んでいた。このため、マリオカートゲームの1人のプレイヤーとして、マリカーは一般需要者によく知られているのではないかと感じている。

 

仮に本件決定が、商品「ゲーム」と役務「自動車の貸与」の関連性の弱さに基づいて登録が維持されたのであれば、個人的にはまだ納得感がある。

 

一方、任天堂のニュースリリースによると、侵害訴訟(平成29年(ワ)第6293号)においては、東京地裁は上記略称が周知であることを認めている。

 

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