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2023.12.11

役務「広告」の類似範囲と該当性

区分・指定商品役務について争いになった商標権侵害訴訟の事例を解説します。役務の類似範囲は特許庁の審査基準に類似群コードとして掲載されていますが、裁判で同じ判断になるとは限りません。また、実際のサービスが指定役務に該当するか別の役務に付随するかという問題もあります。そのような事例を背景事情も踏まえて解説します。

 

1.番組概要

「ゆるカワ商標ラジオ勉強会」複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ商標ラジオ」毎週木曜日22時〜配信📢

2023年12月7日

[特別ゲスト]ブランデザイン共同代表 恩田 俊郎

 

2.商標解説

00:00 Career-Japan事件|広告と求人サービスが類似!その判断の裏事情

いずれも第35類に属する役務「広告」と「求人情報の提供」ですが、類似群コードは異なるため特許庁の審査基準では非類似となります。ですが、この裁判では類似と判断されました。つまり、被告の求人サービスが原告商標権の指定役務「広告」と類似するという結論です。それは何故なのか?それは、”事件の筋”であり、いずれの当事者を勝たせるべきかという裁判所の価値判断が影響しているものと考えられます。

 

10:18  tabitama事件|宿の情報提供は広告ではない!ポイントは掲載費の仕組みにあり

宿泊施設の予約サイトに掲載された個別の宿や旅行会社の情報は広告に該当するのか?掲載費が常に発生するのか又は成約により発生するのかが一つのポイントのようです。商標実務をする者にとっては日々頭を悩ませるテーマだと確信しております。

 

18:15   広告か?情報提供か?雑誌か?商標弁理士ディスカッション

2つの裁判例を踏まえて恩田弁理士のご友人のラーメン情報発信SNSは広告か否かという議論に始まり、「るるぶ」や「ホットペッパー」はどうなのか等々話しております。”R25事件”や”東京メトロ事件”にも触れつつ、ステマ規制にも関わる話を展開しています。ブランデザインでは手数料の区分加算がない点で利用しやすくなっております。

 

3.おまけ

31:18   その”商標”大丈夫?警告を送る前に見直そう

Career-Japan事件での教訓に基づき、商標権侵害の警告前に取得済みの商標権(指定商品・役務や商標自体)を見直すことの重要性を語ります。区分(第○○類)はもちろん重要ですが、区分の中の指定商品・役務(具体的な商品・サービスの内容記載)も超重要です。「広告」及び「求人情報の提供」はいずれも同じ区分(第35類)に属するのですが、両者は特許庁の審査基準上非類似なため原告と被告がそれぞれ同一名称の商標権を取得できてしまったわけです。原告が「広告」のみならず「求人情報の提供」を指定して商標登録していれば、訴訟にならず解決したことでしょう。

 

本件では原告が勝ちましたが、指定商品・役務の選定が結論を大きく分けた裁判例もあります。この事例はたこ焼工房事件といい、役務選定の教訓に関する記事で解説しています。

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