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2024.04.05

【弁理士試験の復習に】”甘味おかめ事件”分割出願・包袋禁反言を考える

商標が類似と判断された甘味おかめ事件(令和1(行ケ)10171)を解説します。判決理由のみならず、裁判の裏側で商標登録出願されていた”おかめ”の審査結果や使用状況にも迫ります。これに関連して訴訟中に分割出願されていることや意見書での主張が包袋禁反言になりそうな話もお伝えします。指定役務「飲食物の提供」の類似範囲について商品と比較した議論も展開しています。

 

1.番組概要

「ゆるカワ商標ラジオ勉強会」複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ商標ラジオ」毎週木曜日22時〜配信📢

2024年2月22日

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2.商標解説

00:00  甘味おかめ事件の判決内容

称呼と観念が共通するため類似するという判断自体は割と一般的な傾向どおりといえそうです。最近紹介した遊VENTURE事件との比較もしても、やはり本件は傾向どおりに思えます。また、本件で原告(甘味おかめ側)は具体的な取引の実情を考慮していますが、商標の登録場面では一般的恒常的な取引の実情が考慮されるため原告の主張は認められませんでした。指定商品を限定して商品の非類似主張をするという手も考えられますね。

 

15:44 裁判の裏側で出願された”おかめ”の行方

裁判で負けたけど商標を使用し続けて大丈夫なのでしょうか?一般的にはリスクがありそうですが、本件では包袋禁反言の法理によりリスクは低いといえそうです。タカノフーズの後願商標「おかめ」が「甘味 おかめ」と非類似と判断され、権利範囲外とすべきような主張もしているためです。

 

20:47  分割するのはどっち?訴訟係属中の分割出願

特許庁の審査や審判の段階であれば、分割出願の対象を拒絶された商品役務とするのがセオリーですよね。一方、裁判段階の場合、拒絶されていない商品役務を分割出願の対象とする必要があります。この点は条約に基づく法律の条文、施行規則及び最高裁判決(eAccess事件)が絡んでくる複雑過ぎるところです。なので、弁理士試験受験生はもちろん忘れている実務家も要チェックです。

 

30:56  商品と比較!”飲食物の提供”は出所混同しにくいか

飲食物の提供(イートインサービス)は、市場で流通する商品よりも出所の混同しにくいのではないかという仮説の下、オカムラが辿り着いたのはサービスマーク導入前の裁判例”中納言事件”の解説論文(田村善之著)でした。それを参照すると、飲食物の提供か否かというより、役務でもフランチャイズチェーンの場合や商品でも転々流通しないテイクアウトの場合などがあり一般化できず、結局、具体的な取引の実情によって混同の有無が変わるということになりそうです。

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