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2018.12.09

Vol. 12 (タカギ)

平成29年(ワ)14637号

平成29年(ワ)14637号

 

原告商標 タカギ 商品:家庭用浄水器交換用カートリッジ

 

被告商標その他表示 被告は当初表示1を使用していたが、途中で表示2に切り替えた。楽天市場検索結果及びGoogle検索結果の表示1及び2をクリックすると被告ウェブサイトへリンクすることとなっていた。

 

1.結論

2.概要

インターネット上の商標の使用について、打消表示や経由する検索結果表示を踏まえて侵害の是非が争われた。

 

「不正競争」といえるための要件をざっくりいうと、(1)原告の商標が周知であること、(2)原告の商標が商品表示として使用されていること及び(3)原告と被告の商品の間で出所の混同が生じるおそれのあることが必要である。本件では、表示1及び2の「タカギ」の部分は、原告の商標として周知であると認定されたが、理由は割愛する。以下、表示1及び2ごとに(2)及び(3)の該当性の概要について解説する。

 

表示1

(1)周知性

被告がインターネット上で商品販売していることに基づいて、日本国内全域を取引対象としていると認定し、表示1及び2の「タカギ」の部分は、日本国内全域で原告の商標として周知であると認定された。詳細は割愛する。

 

(2)商品表示としての使用

表示1は原告の商品表示としての使用と理解できる。被告は、表示1の「互換性のある交換用カートリッジ」の部分及び打消表示があり、かつ、当該製品の写真が原告の商品を映していないという事実に基づいて、表示1が商品の出所を表示するために使用されていない旨主張した。しかし、以下の理由によって、この主張は認められなかった。

 

・「タカギ」とその他の語との間にスペースがあること

・「互換性」という用語は製造販売者が同じ商品間でも用いられること

・文字の大きさ、商品の性質やウェブページでの表示であることに鑑み需要者は全ての記載を注意深く観察しない可能性が相当程度ある

 

(3)出所混同のおそれ

需要者が楽天市場又はGoogleの検索結果に基づいて被告のウェブサイトを閲覧した場合、当該需要者が原告と被告の商品を混同するおそれがある。被告のウェブサイトに被告の製品が原告の製品でない旨の注意書きがあるとしても、この誤認(混同)は解消しないおそれがある。実際に、混同した需要者が原告に対して問合せやクレームをしている。したがって、原告と被告の商品が混同するおそれがあるというべきである。

 

表示2

需要者は、表示2が商品内容を説明するものであるため、表示2によって被告の商品がタカギの商品用のものであると理解できる。このため、表示2は、製品の出所を表示するものとして認識されないというべきである。したがって、表示2の使用は不正競争に該当しない。

 

3.コメント

裁判所の判断は、説明と理解できるかどうかという点で、表示1及び2の間で異なったものとなった。また、本件は、混同を避けるための打消表示がどのように結論に影響を与えるのかの教訓となる。判断理由中には、以下の事実が出所混同につながる旨が述べられた。需要者が最終的に商品を購入する被告ウェブサイトに打消表示があるとしても、この打消表示は、楽天市場検索結果画面においては掲載がなく、Google検索結果画面には、表示1よりも小さい文字で表示されている。

 

ところで、裁判所は、表示1について、選択的主張である(不正競争防止法で侵害としているため商標法に関する判断の必要なし)として、原告の商標権に基づく判断をしていない。仮に、打消表示が検索結果画面に目立つように表示されていたとしたら、どうなっていたであろうか。不正競争防止法では、「混同のおそれ」の要件を満たさず、表示1の使用が侵害であるとは判断されなかったかもしれないが、商標法では、「混同のおそれ」が侵害成立の要件ではないため、表示1の使用は原告の商標権を侵害し得ることとなる。

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