INFORMATION情報発信
2024.05.31
【田代まさし商標トラブル】MARCY’S承諾を得た商標登録に田代本人から異議申立!?
マーシーこと田代まさし氏と株式会社OMECOの商標異議申立バトルを紹介します。最近当番組で多く扱ってきた他人の肖像とパブリシティ権も絡む事件です。特許庁から書類を取り寄せ、事件の当事者のインタビューも行った上での解説です。どのニュース媒体も取り上げていない完全一次情報をお届けします。
1.番組概要
複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ♡商標ラジオ」”ほぼ”毎週木曜日22時〜YouTube配信📢
2024年5月30日配信
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2.商標解説
02:05 事業パートナーは、田代まさし氏
事の発端は、昭和レトロブランド「MARCY’S」をリバイバルすべく、(株)OMECOと田代まさし氏がタッグを組んだ所から始まります。具体的には、商品のデザインや製造のみならず、販売ウェブサイト運営もOMECO社が行い、YouTube番組では田代氏とOMECO社長が共演しています。その上で、商標登録についてもOMECO社が出願しました。これに対して特許庁は田代氏の承諾を求めた(拒絶理由を通知した)ため、OMECO社が承諾書を提出した結果、商標登録が認められました。
「MARCY’S」登録商標(第6759059号)と拒絶理由通知書
06:46 寝ミミに水!“私は何ら承諾していない”
MARCY’Sブランドの商標登録に対して異議あり!異議を申し立てたのは、田代氏です。どうやら商標登録の後に両者は仲違いしたようです。OMECO社長へのインタビューにより次のことが分かりました。
①商標登録に際して提出した承諾書はOMECO社が承諾の事実がある認識の下で作成したこと
②田代氏が商標登録出願をOMECO社に委任したことに関する記事が「週刊女性PRIME」に掲載されていること
③上記②の記事は田代氏の奥様が田代氏に意思確認した旨をOMECO社長に示した上で公開したこと
このような状況で、「承諾があった」といえるかどうかが今回の事件のポイントになるでしょう。現在のところ、田代氏から異議申立がなされたのみであり結論は出ていません。今後、特許庁で審理が進められ、商標登録を取り消すべきかどうかの判断がなされます。異議申立の主張の抜粋、宣誓書(田代氏提出)及び承諾書(OMECO社提出)の画像閲覧記事についてはこちらで購入可能です。
13:52 審査官が問題視したのはイラスト部分のみ!?
今回の商標登録前の審査段階で審査官は、今回の商標のうち、「MARCY’S」の部分でなくイラスト部分が田代まさし氏の肖像を容易に想起させる旨の指摘の上で拒絶しました。しかし、このイラストが田代まさし氏の肖像といえるのかは明確でないため、争点になると考えられます。関連する事例として、他の著名人・芸能人をモチーフとするイラストについての審査例を紹介します。また、イラスト化の法的問題については著名人のキャラデザ問題の記事で検討しています。
コロッケモチーフ登録商標(第6564450号)
22:55 印鑑不要だと他人が承諾書作れちゃう問題
特許庁はデジタル社会への対応等の理由から令和2年12月28日以降多くの手続の印鑑(サインも)不要としています。芸名や肖像の承諾書については印鑑不要となりました。一方、偽造による被害が大きい手続(例えば商標権の譲渡)については印鑑のみならず印鑑証明書も必要となり厳格化しました。偽造により商標権を取得した事件(無効2019-890059)があったから厳格化したのかもしれません。ところが、同様の懸念がある承諾書については印鑑不要とした結果、今回のような事件が起きてしまったと言っても過言ではありません…
[参考情報]
▼週刊女性PRIME「田代まさし、5度の薬物逮捕から“マーシーズグッズ”と共に復活へ!「鈴木雅之の隣で歌いたい」語った『ラッツ&スター』再集結の最終目標」
https://www.jprime.jp/articles/-/27047?display=b
▼特許庁「特許庁関係手続における押印の見直しについて」
https://www.jpo.go.jp/system/process/shutugan/madoguchi/info/oin-minaoshi.html
▼MARCY’S商標登録の異議申立書類に関する書類
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