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2023.11.10

Tシャツのデザインは”商標的使用”か問題~裁判例・特許庁判断例を解説~

誤解されがちですが、登録された商標(イラストや文字)を使用していても、”商標的使用”に該当しないと認められば商標権侵害になりません。今回は、この分かり難い問題を事例とともに解説しています。

 

1.番組概要

「ゆるカワ商標ラジオ勉強会」複雑に入り組んだ商標業界に緩やかなメスを入れ、様々な謎や疑問を優しく究明する「ゆるカワ商標ラジオ」”ほぼ”毎週木曜日22時〜配信📢

2023年11月9日

[特別ゲスト]ブランデザイン共同代表 恩田 俊郎

 

2.商標解説

02:22 (侵害)「ビーチマット女性イラスト」事件

ティーシャツの胸部に大きく表示したイラストについて商標的使用か否かが争われた事例です。商標的使用が認められ商標権侵害とされました。裁判所の判断内容のうち、被告の主張についての判断がオカムラ注目ポイントです!商標権と著作権の両方について侵害と判断された点でも珍しい事例です。「商標権vs.著作権どちらが強い?」の議論の延長戦のようにもなっていて面白いですよね。

 

09:59 (非侵害)「運動不足」事件 

ティーシャツの胸部に大きく表示した文字について商標的使用か否かが争われた事例です。商標的使用が認められず商標権侵害でない(商標権の効力が及ばない)とされました。特許庁の判定内容のうち、「運動不足」の文字の識別力(特徴)がポイントです。こういった自虐的なメッセージを伝えることを目的とした文字については出所表示(典型的にはブランド名)とは理解されないというのは納得感があります。

 

16:13  デザインを位置商標で守れ!「フレッドペリー等の商標登録例」を深掘り

上記では、ティーシャツ等の服の胸部に表示するイラストや文字について商標権侵害か否かの疑義があることを述べてきました。では、服の胸部に表示する場合に権利行使の可能性を高める対策として何があるのでしょうか?その一つが位置商標(新しいタイプの商標)の登録です。フレッドペリーのようなワンポイントマークは勿論、胸部に大きく表示する登録例もあります。さらには、平面図形だけでなく立体商標登録している事例も、被服の例ではないですが参考になります。平面商標のみの登録では登録商標の使用者から「デザインだ」「商標的使用でない」と反論されるケースでも、商品における表示箇所も特定した位置商標や立体商標の商標登録を持っていれば、そのような反論がし難くなるでしょう。

 

3.おまけ

22:11  実は仲違い!?「運動不足」事件の裏側に迫る

商標的使用について調べていると、まさかのドロドロした経緯が垣間見えました。これは紹介せずにはいられません!今回の収録で最も盛り上がったような気がします…笑。そして、改めて商標登録の管理の重要性を実感しました。商標登録は更新(後期納付を含む)の期限になっても自動更新はされないし、特許庁から何ら通知も来ません。

 

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